猫と芝生で昼寝したい。

行き詰ったとしてもどうにかなるから、とりあえず猫と芝生で昼寝しようよ。

骨髄ドナー体験談①~候補者に選ばれたら両親と向き合うことになった話~

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私は最近、人生について深く考える機会がありました。20歳のときに登録した骨髄バンクから、コーディネーターの候補者として選ばれたと連絡がきたことがきっかけです。

骨髄提供ができるのは人生で2回まで。めったにあることではないので、記録として残していきたいと思います。

 

知らせは突然に。

骨髄ドナーの申し込みをしてからもうすぐ10年。引っ越しをしたときは住所変更も送ったし、たまに送られてくる骨髄バンクの広報誌も目を通していて、もし私の骨髄を必要としている人がいるのなら提供しようという意思に変わりはありませんでした。

それでもいざ候補者に選ばれたと連絡がきて、私は正直びっくりしてしまいました。

知らせは、当たり前なのですが突然にきました。

休みの日、携帯をふとみると日本骨髄バンクから骨髄提供の候補者の一人となったことを伝えるショートメールが入っていました。まさかショートメールで連絡がくるとは思っていなかった私は、新手の詐欺メールかと半信半疑。

それでもその日中に骨髄バンクからA4サイズの封筒が届き、中には候補者になったことを知らせる通知、候補者(私)の健康状態を確認するアンケート、そして丁寧に骨髄移植の流れ・リスク等が書かれた冊子も同封されていて、「本当に(HLA型が)一致したんだ…。」と半ば放心状態になりました。家に帰ってすぐに内容を確認しました。

両親の反応。同意を得るまで。

内容を確認し、まずは両親に伝えようと思いました。というのも、提供する場合、独身の場合は親、既婚者の場合は配偶者の同意が必要だからです。

私は実家を出ているため、親とは数か月に1回会う程度。すぐに実家に帰る予定はなかったため、まずはドナーの候補者になったとラインを送りました。

反応は、断固反対。(予想はしていたけど…)

ラインでは埒があかないので電話をしました。

親の言い分としては、「他人のためにリスクを負ってまですることはない」「後遺症が残ったらどうする」「自分のためになることに時間を割いてほしい」「心配だからやめてほしい」「とにかく、ダメ!!!」でした。

私も私で、「私はしたいと思ってる」「後遺症が残るリスクなんて交通事故にあうより低い」「入院もせいぜい数日だし、そんなことで辞退したくない」「なんでわかってくれないの!」と感情的になってしまい、平行線に。

もう直接会って話すしかないと思い、実家に帰る日にちを設定。

骨髄バンクの事務局には私の健康状態に関するアンケートは返送し、私自身は提供する意思があるが、親に反対されていると状況を伝えました。両親の同意の有無を改めて連絡するということで保留になりました。

 

実家に帰る前に母親に連絡してみたら、不意打ちで愛情を感じた。

実家に帰る数日前、先手必勝ということで母親にラインを送りました。

「〇日に帰ります。私は骨髄提供をしたいと思っていて、2人(両親)が反対する気持ちもわかるし、心配かけて申し訳ないとも思うけど、私の意思を尊重してほしいというのが率直な思いです。リスクがないとは言えないけど、もし断ったら私はたぶんずっと後悔するので、お願いします。」

 

すると母親からは

「分かりました。〇ちゃん(私)の生きたいように生きるのが一番だからね。」

と返信がきました。

あんなに反対していたのに!と思いましたが、最初は急に骨髄ドナーの候補者になったなんて言ってきて、親も気が動転していたのかもしれません。

その後きちんと考えてくれていたのかなと、少しうるっときました。母親から「生きたいように生きるのが一番だからね。」なんて言葉をかけられたのもはじめてで、好き勝手に生きていつも事後報告の私のことを、こうやって見守ってくれていたのかと、愛情を感じられました。

そして直接話にも行き、きちんと了承を得ることができました。

父親はずっと「心配だ…」と言っていましたが、最後には「早く孫が見たい」といういつもの話になり、なんだか申し訳なくなりながらもほっこりして、例のごとく大量のお土産を持たされ帰路につきました。

そして骨髄バンクにも同意を得れたことを報告、確認検査の日程調整へと進みました。

人生を考え、家族と向き合うきっかけになった

候補者に選ばれてから親の同意を得るまで、たくさん考え、悩みました。

骨髄提供をすることになった場合、全身麻酔でドナーの安全第一で手術をしますが、本当に万が一何かが起こったとき、同意した親を苦しめることになるのではないか。

通院・入院に日数を割いて、仕事も調整して、健康な体なのに手術をする。そこまでする必要があるのか。

そんなことをうじうじと悩んでいましたが、骨髄ドナーに登録したときの初心を思い出して、「自分に何かできることがあるならする。」そのシンプルな考えを貫き通そうと決意してからは迷いはなくなりました。

家族にも心配は掛けますが、私の価値観・生き方を伝えられる良いきっかけになったと思います。

 

次は確認検査。骨髄提供までの道のりは長い。